【職場意識改善助成金】勤怠管理の導入にかかる費用を抑えるための助成金・補助金とは
企業において勤怠管理は欠かせない作業ですね。
タイムカードでの打刻や出勤簿への記録、それらを月締めに回収して確認するという流れが一般的かと思います。
給与へも影響することなので正確かつスピーディーに行う必要がありますが、案外時間や人手を割く作業ですので、できれば機械化したいところです。
とは言っても勤怠管理システムやその他設備の導入はコストがかかるため、なかなか踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。
実は勤怠管理の導入に使える、『職場意識改善助成金』という助成金があるのです。ここでは、『職場意識改善助成金』の内容と申請条件についてご説明します。
職場意識改善助成金とは
職場意識改善助成金とは国が設けている助成金です。
労働時間の削減や、年次有給休暇の取得促進など、労働時間等の設定の改善に取り組むために必要な研修や機械の導入といった費用の一部を助成します。
労働者の生活と健康に配慮し、多様な働き方に対応して、より良いものにしていくことを目的とした助成金です。
この制度は数年前から始まっており、現在は4つのコースが用意されています。
- 職場環境改善コース…所定外労働時間の削減と年次有給休暇の取得推進を図る企業に対して助成する。
- 所定労働時間短縮コース…所定労働時間の短縮を図る企業に対して助成する。
- 時間外労働上限設定コース…時間外労働の上限設定に取り組む企業に対して助成する。
- テレワークコース…在宅またはサテライトオフィスにおいて就業しテレワークに取り組む企業に対して助成する。
どのコースも中小企業が対象となります。
それぞれ要件や支給内容に違いがありますので、厚生労働省のHPで確認することをおすすめします。
職場意識改善助成金を受けるための要件
所定労働時間短縮コースを例に、職場意識改善助成金が受けられる対象者を見ていきましょう。
助成金の支給対象となる事業主は、以下の全てに該当することが条件です。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2)次のいずれかに該当すること
・資本または出資額が5千万円以下または常勤者が50人以下である小売業者
・資本または出資額が5千万円以下または常勤者が100人以下であるサービス業
・資本または出資額が1億円以下または常勤者が100人以下である卸売業
・資本または出資額が1億円以下または常勤者が300人以下であるその他の業種
(3)労働基準法によるところの特定措置対象事業場(※)で、かつ所定労働時間が週40時間を超え週44時間以下の事業場を有していること
(4)労働時間等の設定の改善を目的とした所定労働時間の短縮に取り組む意欲があり生活が期待できること
<特定措置対象事業場の範囲>
常時10人未満の労働者を使用する以下の(1)~(4)の業種の事業場が対象です。
(1)商業(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)
(2)映画・演劇業(映写、演劇その他興行の事業。映画の製作の事業を除く。)
(3)保健衛生業(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)
(4)接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)
そして、助成金支給の対象となる取り組みは、
- 労務管理担当者に対する研修や外部専門家によるコンサルティング
- 勤怠管理システムといったソフトウェアの導入や更新
- タイムレコーダーなどの管理用機器の導入や更新
- デジタコやテレワーク用通信機器の導入・更新
- その他業務の補助となるような設備・機器の導入・更新
となっています。
ただし、原則としてパソコンやタブレット端末・スマートフォンは対象となりません。
肝心なのは「労働時間等の設定の改善」が見られることです。
つまり、助成金を受けるには一定の成果目標をクリアしなければいけません。
所定労働時間短縮コースにおいては「週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とすること」が成果目標となっています。
職場意識改善助成金が適用されることのメリット
この助成金は上限額を50万円とし、備品代などかかった経費の4分の3の額が支給されます。
例えば10万円のタイムレコーダーを購入する場合は2万5千円となります。
勤怠管理システムになると導入費用が50万円を超えてきますので、50万円のシステムであれば12万5千円、100万円のシステムであれば50万円、といった具合に助成金の恩恵が大きくなります。
このように、助成金を適用されることで費用面のメリットが最も大きいです。
しかし、この助成金は「職場改善」が目的であり、それを達成することが前提のため、そこで働く従業員にとっても、無駄な労働時間(残業など)がなくなるというメリットがあるでしょう。
職場意識改善助成金を利用するには
職場意識改善助成金を利用するには事前に事業実施承認の申請を行い、承認後取り組みを実施(機器の購入や研修の実施、就業規則の作成・変更など)、その後取り組みの報告を含めて支給申請書を提出し支給が決定されれば助成金を受けられる、という流れになります。
この助成金は毎年実施されており、年度ごとに事業実施承認申請と支給申請の締め切り日があります。
申請の締め切り日があることにも注意しましょう。
申請の提出先および問い合わせは最寄りの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)となっています。
助成金を受けるための要件は多いですが、コストを抑えて職場改善もできる機会となりますので、対象事業主となる場合はぜひ活用することをおすすめします。